作業記録の紙からの再入力を見直す
福田屋では、作業時間や製造出来高を紙に記録し、管理者がPCへ再入力していた。紙を衛生的に保管する難しさや紛失リスクに加え、再入力の時間と打ち間違いが課題だった。同社はタブレットで作業記録を入力するアプリを作り、Googleスプレッドシートへ連携する仕組みを整えた。公開記事には削減時間などの導入後実績は記載されていない。
アトツギ経営者は、同じ出来高や作業時間を何度書き直し、誰が照合しているかを確かめたい。現場に入力項目を増やす前に記録の受け渡しを整理し、管理側の再入力をなくせる箇所と確認を残す箇所を分けて検討してはいかがだろうか。
出典:有限会社福田屋/ 菓子製造における業務削減と品質向上に向けた DX の取組み
https://kumamotodx.jp/case/post-12146/
記入ミスと空欄をその場で見つける
湖池屋の京都工場では、大量の紙が蓄積して確認に負担がかかり、記入ミスや空欄も頻発していた。運用が個人の経験に依存していたため、同工場は使いやすさを重視してカミナシで記録と承認をデジタル化した。導入記事では、ミスや空欄をその場で検知し、確認負荷を軽減したと報告されている。
アトツギ経営者が見直せるのは、帳票を後からまとめて点検する仕事を、記録した時点で確かめる流れへ変えられるかという点だ。管理者が空欄の事情を聞いて回る負担を減らすため、記入した本人がその場で気づき、修正できる運用を一つの帳票から試してはどうか。
出典:株式会社湖池屋 京都工場/圧倒的な「使いやすさ」が製造現場を変えた──多国籍・多年代の従業員が支える大手菓子メーカーの DX 推進
https://kaminashi.jp/case/koikeya
機械の組立と清掃の教え方をそろえる
栄光堂ファクトリーでは、指導者が半日つきっきりになるうえ、説明の抜けや表現のばらつきがあった。特定の従業員しか扱えない機械があり、不在時の故障で停止する懸念もあった。同社はカミナシ教育で機械の組立や清掃手順を動画化。導入記事では教育内容の統一が報告されており、全機械の属人化解消や多能工化は今後の目標も含まれている。
アトツギ経営者は、特定の人しか教えられない機械を洗い出し、組立や清掃のどの手順から残すかを決めたい。教え方の統一を担当者の育成につなげるため、動画の作成だけで終わらせず、実作業で習得を確かめる段階まで含めて教育を見直してはいかがだろうか。
出典:栄光堂ファクトリー株式会社/動画マニュアルで新人教育の工数がほぼゼロに
https://kaminashi.jp/case/eikodo-factory
まとめ
3社の取り組みは、記録と教育を個人任せにせず、ほかの人が確かめて使える形に整えるものだ。書き直しや記入漏れを減らす仕組みも、教える内容をそろえる仕組みも、担当者が替わってなお仕事を続けるための準備と捉えられる。
アトツギ経営者の方は、繰り返し転記している帳票と、一人しか説明できない手順を挙げ、日々の負担や不在時の影響から着手する対象を選んではいかがだろうか。AI・デジタル活用の目的を、記録を増やすことではなく、確かめ直しや教え直しを減らし、仕事を引き継ぎやすくすることに置きたい。


