病床と看護負荷を一緒に確かめる
長浜赤十字病院では、患者の状態や希望、看護師の負荷に関する情報が分散し、空床数だけでは入院の受け入れを判断できなかった。NECとの実証では、電子カルテなどの情報を集約し、看護師の経験値も加味した忙しさ指数と病床状況を可視化。2025年5月から毎朝の会議で活用した。病院側は、応援を出す際の納得が得やすくなり、時間外勤務の削減にもつながったと報告している。公表時点では本採用を検討する段階であり、削減率は示されていない。
アトツギ経営者は、稼働率だけで現場の余力を判断せず、受け入れ判断に足りない情報を現場責任者と洗い出したい。まず一つの病棟で、負荷の指標と現場の実感が合うかを確かめ、応援の相談に使える形を検討してはいかがだろうか。
出典:NEC/長浜赤十字病院「現場の“忙しさ”や病床の“今”を見える化 病院経営改革に向けた取り組みを前進」
https://jpn.nec.com/medical_healthcare/jirei/nagahama/index.html
同じ画面を見て、病棟間の受け入れを調整する
神戸市立医療センター中央市民病院では、病床管理担当者が各病棟を回って状況を把握しており、時間と労力がかかっていた。他病棟の事情が見えず、緊急入院の受け入れを公平に調整する難しさもあった。GEヘルスケアのコマンドセンターを使い、空床、看護師の繁忙度、患者の重症度を共有する毎朝15分の会議を実施。2023年と2024年の10~12月を比べ、新入院患者数は8.8%増えた。ただし、これは業務手順の変更や運用病床数の変更などを含む取り組みの成果である。
アトツギ経営者が情報の共有方法を見直すなら、画面を設けるだけでなく、誰がいつ集まり、何を決めるかまでそろえたい。電話や巡回で繰り返し確認している項目から、病棟間で共有する情報を絞ってはどうか。
出典:GEヘルスケア・ジャパン/神戸市立医療センター中央市民病院のコマンドセンター活用事例(2025年6月2日)
https://www.gehealthcare.com/ja-jp/event-and-news/news-and-initiatives/2025/press07
負荷の違いを、院内共通の調整材料にする
京都医療センターでは、部署ごとの改善が院内全体にどれほど効いているかを測る共通の物差しがなく、病床や人員を十分に生かせていない部分があった。2025年4月にコマンドセンターを本格稼働し、病床状況や看護師の繁忙度などを共有。負荷の高い病棟が分かることで、看護師長同士の電話調整を減らし、応援を迅速に振り分けられるようになったという。2025年4~6月の前年同期比で看護部門の残業時間40%減を公表しているが、病院側は看護提供方式の変更も大きく関与したと説明している。
アトツギ経営者は、調整に使う情報と、改善を評価する指標を分けて考えたい。確認や交渉にかかる時間、応援後の負荷などを現場と確かめ、仕組みの変更と運用の変更を区別して効果を振り返ってはいかがだろうか。
出典:京都医療センター/KMC MAGAZINE 第16号(2026年1月)
https://kyoto.hosp.go.jp/news/medical/data/KMCmagazine16.pdf
出典:京都医療センター・GEヘルスケア・ジャパン/コマンドセンターの導入成果(2025年11月11日)
https://www.gehealthcare.com/ja-jp/event-and-news/news-and-initiatives/2025/press13
まとめ
3事例に共通するのは、病床と現場の負荷を見えるようにし、人が相談して判断するための材料をそろえたことだ。データが集まれば、受け入れや配置を自動で決めてよいわけではない。患者の状態、必要な技能、現場の事情を確かめる専門職の役割は残る。AI・デジタル活用を考えるアトツギ経営者は、判断の遅れが情報不足によるものか、調整の手順によるものかを分けて捉え、まずは確認が重なっている業務から見直してはいかがだろうか。
病床と看護負荷の情報整理に、AIシャインを活用する
