生成した文書の修正を、仕組みの改善へ返す
済生会小樽病院では、退院時サマリや診療情報提供書の作成が医師の負担になっていた。一方、診療情報を汎用の生成AIに渡すことや、匿名化のために手間を増やすことも避けたい課題だった。NECの医療クラウドと院内システムをVPNでつなぐ仕組みを導入し、利用者の指摘を開発側へ共有。初期には情報の誤認や選択不足があったが、改善後は無修正または数行の修正で使える文書になり、作成時間の短縮につながったと担当医が報告している。短縮時間の定量評価は今後の課題とされている。
アトツギ経営者は、導入前に情報を扱う環境と責任分担を確認し、利用後の誤りを誰に返すかまで決めておきたい。生成時間と確認・修正時間を分けて測り、現場の指摘が改善へ戻るかを確かめてはどうか。
出典:済生会小樽病院/「MegaOak AIメディカルアシスト」導入による生成AIを活用した業務の効率化(IT Vision No.54)
https://jpn.nec.com/medical_healthcare/jirei/data/saiseikai_otarubyouin_202507.pdf
看護師の最終確認を残して、実証を広げる
橋本市民病院では、看護サマリを作るために大量の記録を遡る負担があり、作成に30分以上かかることもあった。看護サマリに対応するβ版を実証し、2病棟から全病棟へ段階的に展開。AIが項目ごとの下書きを作り、看護師が情報の過不足や処置の回数などを確認・修正して完成させる運用を採った。実証では、作成時間が平均30分から15分になったと報告されている。完成文書を人が確認する工程を省いた事例ではない。
アトツギ経営者が試行範囲を決めるなら、対象文書、確認する人、修正が必要だった箇所を記録する方法をそろえたい。一部の部署で下書きから完成までの負担を確かめ、利用を広げる条件を現場と検討してはいかがだろうか。
出典:橋本市民病院/橋本市民病院における看護サマリでの生成AI活用の実際(IT Vision No.57)
https://jpn.nec.com/medical_healthcare/jirei/data/Itvision_hasimoto_202607.pdf
下書きの不足から、元の記録も見直す
織田病院では、入退院に伴う文書作成が多く、担当者ごとに表現の異なる看護記録を整理し直すことが負担だった。患者データの取り扱いを重視し、院内で処理する「OPTiM AI ホスピタル」を2024年4月に導入。退院時看護サマリの作成時間は、導入前の平均16.31分から、初回利用では10.90分、使用3回目以降では7.47分となった。現場は、生成文の内容不足から元の記録の不足に気づき、観察やケアの結果を丁寧に残すようになったとも報告している。
アトツギ経営者は、下書きが十分にできない原因をAIだけに求めず、必要な情報が元の記録に残っているかも確認したい。習熟による違いを含めて負担を測り、記録方法の見直しと下書き支援を一緒に進めてはどうか。
出典:オプティム/社会医療法人祐愛会織田病院の導入事例(2025年10月6日)
https://www.optim.co.jp/media/cat-case/aih_251006-01
まとめ
3事例は、生成AIで記録から情報を集めて下書きを作る工程を支援し、専門職が内容を確認するための時間を確保しようとする取り組みだ。効果を測る際は、生成速度だけでなく、原記録の確認、修正、完成までを含める必要がある。アトツギ経営者は、実際に負担が大きい文書を一つ選び、患者情報を扱う条件と最終確認の責任を明確にしたうえで、小さな範囲から有用性を確かめてはいかがだろうか。
診療・看護文書の下書きに、AIシャインを活用する
