公開事例では、Web広告の知見不足、受注と請求で分かれた顧客情報、紙の伝票による進捗管理が課題になっていた。本稿では、AI・デジタル活用で広告・印刷の仕事がどう変わるのかを伝えるため、読売連合広告社、セントウェル印刷、近森謄写堂のデジタル化事例を紹介する。
Web広告を扱うための知識と運用を整える
読売連合広告社では、営業にWeb広告の知見や自信が不足していた。地方の少額案件は外注の最低額と合わず、運用工数も割けないことが課題だった。同社は組織再編、教育、複数ツールの導入を並行し、経験のある運用者がShirofuneを活用した。導入記事では、Web広告の受注拡大や運用時間の短縮が紹介されている。
アトツギ経営者が新しい広告サービスを広げるなら、ツール選びと同時に、誰が提案し、誰が運用を担うかを決めたい。営業に必要な説明力と運用者の専門知識は同じではない。教育と役割分担を分けて整え、受注後の対応まで見据えて扱う案件の範囲を決めてはどうだろうか。
出典:株式会社読売連合広告社/ 全社の Web 広告売上が対前年 130% に急伸。その効果がマス広告の売上にも波及。Shirofune が営業現場のマインドを変えた 〜株式会社読売連合広告社の Shirofune 導入事例〜
https://shirofune.com/cases/feedback-detail48/
現場の要望を整理して重複入力を見直す
セントウェル印刷では、デザイナーが顧客担当を兼ね、見積から請求まで担っていた。古い基幹システムで受注と請求の顧客データが連動せず、入力が重複していた。同社は現場の要望をスプレッドシートにまとめ、要件を合意して外部業者へ刷新を委託した。支援機関の取材記事では、先行部分が完成し、確認の手間が減ったと紹介されている。請求・受注分析の機能は、記事時点では開発予定だった。
アトツギ経営者が刷新の範囲を決める際は、現場の不満をそのまま機能追加の一覧にせず、どの情報を何度入力しているかまで整理したい。受注と請求をつなぐ要件を先に言葉にして外部業者と完成の基準を共有し、先行部分を使った評価から次の改修を判断してはどうだろうか。
出典:セントウェル印刷株式会社/セントウェル印刷株式会社
https://obdx.jp/case/2025-08-08-1661/
進捗と変更を共有し社長への集中を減らす
近森謄写堂では、社長が帰社後に紙の伝票を作り、作成に毎日1〜2時間をかけていた。納期変更の伝達漏れや情報のずれが生じ、進捗確認や過去の伝票探しも負担だった。同社はAccurioPro Dashboard JobManagerでジョブと実績を共有した。導入記事では、最新の指示を共有できるようになり、社長が不在でも業務を進めやすくなったと紹介されている。
アトツギ経営者が社長への仕事の集中を解くには、先代の判断を丸ごと置き換えるより、日々の指示や変更が社内へ届く経路を先に整えたい。最新の納期と進捗を誰でも確認できる仕組みと、その情報で現場が判断してよい範囲をセットで見直し、権限の引継ぎを小さく試してはどうだろうか。
出典:有限会社近森謄写堂/【導入事例】有限会社近森謄写堂様 印刷工程の視える化を実現し、業務管理の悩みを一気に解決!
https://www.konicaminolta.jp/business/products/graphic/printlab/case/chikamori.html
まとめ
3社の事例が示すのは、担当者や社長に集まる仕事を、単に別の人へ渡すだけでは足りないということだ。提案する知識と運用の役割を整え、重複入力を解く要件を共有し、進捗や変更を現場が確認できるようにする。人に任せる前提となる情報と手順をそろえることが、チームで仕事を進めるために欠かせない。
アトツギ経営者の方は、詳しい人が不在だと止まる仕事を一つ選び、不足するのが知識、顧客情報、最新の指示のどれかを確かめてはいかがだろうか。AI・デジタル活用を検討する際も、ツールに任せる処理と、人が判断する範囲を一緒に決めたい。情報の共有に役割と権限の見直しを重ねれば、社長への集中を解く具体策を選びやすい。


