現場と本部で同じ日報を確認する

株式会社中谷水産では、Excelで管理する養殖日報について、作業者と本部でデータが食い違い、必要な情報が揃わないことがあった。ファイルが手元の端末に保存され、本部がすぐ確認できないことも課題だった。そこで日報の形式を統一し、AppSheetによる入力とクラウドでの共有を導入した。導入記事では、報告内容の修正が不要になり、拠点間の確認が速くなったと報告されている。生簀別に使用した餌の袋数も、会計と照合できるようになった。

アトツギ経営者は、日報を出す人と受け取る人が同じ項目・同じ数字を確認できるよう、入力様式と共有先を見直してはどうか。

出典:株式会社中谷水産/データの正確性が向上し 拠点間の情報確認が迅速に

https://i-ocean-global.com/cases/nakatani_suisan/

船上で入力できる記録方法を試す

有限会社結城水産では、紙のノートに記録を残していても、Excelへの入力が大変で続かないことが課題だった。同社の相談を起点に開発された「uwotech生産管理」は、2023年に試験導入が行われた。試験後の声として、同社は生簀の構成が分かりやすいことや、フォームへ入力しやすいことを評価している。船の上から記録できる点についても、入力を続けられそうだという期待を示した。

アトツギ経営者は、記録を残す意欲だけに頼らず、現場で使いやすい端末や入力のタイミングを作業者と確かめ、転記を減らす方法を小さく試してはいかがだろうか。

出典:有限会社結城水産/ クラウド養殖管理ソフト「 uwotech 生産管理」の正式版の提供を開始。魚類養殖の生産コスト最適化を支援。

https://aquacraft.blue/notices/17/

蓄積した飼育記録を原価の検討に使う

有限会社中平海産では、魚に適した飼育を行うため、漁場や日々の投餌、作業のデータを蓄積・分析したいと考え、2002年6月に管理ソフト「養殖日誌」を導入した。提供元の事例記事では、記録が蓄積するにつれて、期間や小割ごとの増肉係数などを素早く把握でき、データに基づく給餌量の調整で生産原価を削減できたと報告されている。給餌パターンを設定し、出荷までの月別計画や原価予測も検討できるようになった。

アトツギ経営者は、先代が残した飼育記録を保存するだけで終わらせず、期間や飼育区画ごとに成績を比べ、原価の違いを説明できるか確かめてみてはどうか。

出典:有限会社中平海産/有限会社 中平海産 様(養殖日誌 導入事例)

https://www.pasys.co.jp/ocean/introduction_case02.html

まとめ

3社の取り組みから見えてくるのは、飼育記録を役立てるには、入力を続けられること、同じ情報を確認できること、過去の実績を比べられることをつなぐ必要があるという点だ。紙を画面に置き換えるだけでなく、転記や確認に使っていた時間を、魚の育ち方や原価を検討する時間へ変えていく。そのためには、現場が無理なく記録できる運用と、判断に必要な情報の揃え方を一緒に考えたい。

AIで仕事をどう変えられるか考えるアトツギ経営者の方は、まず飼育記録がどこで止まり、誰が入力し直しているかをたどってみてはいかがだろうか。担当者が替わっても同じ数字と過去の経緯を確認できる状態を整えることから、記録を次の判断へつなぐ道筋が見えてくる。