病床と現場の忙しさを同じ画面で見る
長浜赤十字病院では、病床稼働率だけでは患者の状態や希望、看護負荷を判断できず、情報も分散していた。忙しさの評価が主観的で、受け入れ判断が遅れることも課題だった。NECとコマンドセンターの実証を行い、忙しさ指数と病床状況をダッシュボード化した。事例では、人手不足の病棟が見え、応援要員を出しやすくなったと報告されている。
アトツギ経営者が運営状況を把握する際は、稼働率の数字だけで現場の余力を判断しないことが大切だ。現場責任者と応援の必要性を話し合えるよう、数字と現場の実感が食い違う理由を負荷の記録から確かめてはいかがだろうか。
出典:長浜赤十字病院/現場の“忙しさ”や病床の“今”を見える化 病院経営改革に向けた取り組みを前進
https://jpn.nec.com/medical_healthcare/jirei/nagahama/index.html
文書の下書きを現場の修正から改善する
済生会小樽病院では、文書作成に時間がかかる一方、診療情報の取り扱いと匿名化の手間が課題だった。専用クラウドとVPNで電子カルテを連携し、利用者のコメントを開発側へ返して生成文を短周期で改善した。初期には誤認や重要事項の欠落があったが、事例では改善後に無修正または数行修正で利用でき、時間短縮につながったとの医師の報告がある。
アトツギ経営者が文書作成の仕組みを評価するなら、作成時間だけでなく、誤りの確認や修正にかかる負担も確かめたい。情報管理の環境と現場の指摘を改善へ返す手順をそろえ、利用を広げる条件を現場と検討してはどうか。
出典:済生会小樽病院/ 「 MegaOak AI メディカルアシスト」導入による生成 AI を活用した業務の効率化
https://jpn.nec.com/medical_healthcare/jirei/data/saiseikai_otarubyouin_202507.pdf
看護記録の要約を人の確認と組み合わせる
橋本市民病院では、大量の看護記録を遡って整理するのに30分以上かかる例があり、経験差による漏れやばらつきも懸念されていた。看護サマリに対応するβ版を病棟で実証し、人が最終確認する運用を2病棟から全病棟へ広げた。事例では、作成時間が平均30分から15分になったと報告されている。
アトツギ経営者は、記録を探してまとめる時間と、人が内容を確かめる時間を分けて把握したい。最終確認を担う人と手順を明確にした上で、どの文書業務に支援を入れるかを現場と検討してはいかがだろうか。
出典:橋本市民病院/ 橋本市民病院における看護サマリでの生成 AI 活用の実際
https://jpn.nec.com/medical_healthcare/jirei/data/Itvision_hasimoto_202607.pdf
まとめ
3事例は、人の判断を置き換えるのではなく、判断に必要な情報を集め、整理する負担を見直している。導入を考える際は、処理の速さだけでなく、確認する人が必要な情報へたどり着けるか、修正を運用に戻せるかも重要だ。AI・デジタル活用を考えるアトツギ経営者にとって、記録の探索や文書の下書きは、現場と負担を洗い出したい業務だ。人が担う確認を明確にし、その前後を含めて負担が変わるかを確かめながら、適用する業務を選んではどうか。

