工場全体の計画を見えるようにする

中西木材では、納期対応の残業や休日出勤が恒常化する一方、生産計画全体を把握しているのは工場長だけだった。担当者は先の準備や改善を考えづらかったため、同社はkintoneで工程と計画をガントチャート化し、全社員で共有した。公開記事では、数日先の計画や担当外の工程を確認でき、他部門からも生産状況が分かるようになったと報告されている。

アトツギ経営者が確かめたいのは、納期が変わったとき、影響する工程を工場長以外も把握できるかという点だ。残業で対応する前に準備の前倒しや部門間の協力を検討できるよう、全体の計画を現場と共有し、変更時の相談の進め方を見直してはいかがだろうか。

出典:中西木材株式会社/ 製造工程の見える化で「 One Team 」体制生産を目指す

https://dxfukui.jp/case/pid646/

配送の記録を既存データベースへつなぐ

三王ハウジングでは、既存データベースを十分な分析に使えず、配送も紙で管理していた。取引先からはリードタイムの把握と積み忘れの防止を求められていた。同社は分析向けのデータ整理に取り組み、二次元コードとタブレットで入力した配送情報を既存データベースへ集約。公開記事では、積み忘れが月0.7件から0件となり、納品書発行を月30時間削減したと報告されている。

アトツギ経営者は、既存システムにある情報と、出荷現場で新たに記録している情報の重なりを見たい。全面的なシステム入れ替えを前提にせず、配送記録をつなぐ進め方を参考に、積み忘れの確認や納品書発行から改善対象を選んではどうか。

出典:三王ハウジング株式会社/DX化による生産性と顧客満足度向上の取り組み

https://www.ticc-ehime.or.jp/dxlab/case-study/case-study-1327/

紙でつないでいた受注と製造出荷を見直す

企業名非公表の家具製造企業では、紙による部門間の連携が、情報の正確性や重複作業の問題を生んでいた。開発会社の公開事例では、受注生産の製造出荷管理で、既存システムの間をつなぐアプリケーションを開発したと紹介されている。具体的な削減時間や導入後の成果は記載されていない。

アトツギ経営者が点検したいのは、受注、製造、出荷の間で、同じ情報を紙に書き直して渡している箇所だ。個別のシステムを増やしても転記が残る事態を避けるため、受け渡す項目と責任者を整理し、一つの部門間の連携から見直してはいかがだろうか。

出典:非公表(家具業界の受注生産企業)/ 製造出荷管理の DX 化

https://www.pencil-leapedge.co.jp/case01/

まとめ

3つの事例に共通するのは、各部門で持っていた情報をつなぎ、次の仕事に使える状態へ変える取り組みだ。工程表や配送記録が共有されれば、管理者に確認が集中する仕事を見直せる一方、部門の境目に紙の受け渡しが残っていないかにも目を向けたい。

アトツギ経営者の方は、受注から出荷まで一件の仕事をたどり、情報を待っている場所と書き直している場所を確かめてはいかがだろうか。AI・デジタル活用は、すべてを新しくする話ではない。すでにある情報をつなぎ、納期や配送の判断に使えるようにするところから、改善の範囲を選べる。