案件ごとの施業・契約情報を、共通の基盤に整える
東京都森林組合では、年間約900件の施業案件を一つのExcelで管理し、約20人の担当者が入力待ちをする状態だった。kintoneを導入し、施業、契約、請求・入金、購入・外注費の支払などを管理する基盤を構築。導入記事では、いつでも入力できるようになり、待ち時間の負担が軽減したと担当者が評価している。登録した情報から請求書などの帳票を作り、会計システムにも連携する運用になった。
アトツギ経営者の方も、依頼内容や施業履歴、契約書類を案件ごとにたどれるよう、現場と事務所が使う情報のまとめ方を見直してはいかがだろうか。
出典:東京都森林組合/ 林業のクラウド化推進に貢献する kintone
https://kintone-sol.cybozu.co.jp/cases/tokyotoshinrinkumiai.html
測量画像をクラウドで解析し、担当者の負担を抑える
神奈川県森林組合連合会では、ドローンによる測量・解析に取り組む中で、従来ソフトの操作やデータ処理に時間がかかり、PCの性能にも左右されていた。クラウド型の「くみき」を導入し、解析処理をクラウド側で進める方法に変更。導入記事では、解析を担う職員がPCの性能に依存せず作業できる点を評価している。GISとの連携や申請書類の簡略化は、今後の活用に期待する取り組みとして挙げられている。
アトツギ経営者の方は、撮影から解析までのどこで手間がかかるかを確かめ、特定の担当者やPCに負担が集中しない測量データの扱い方を検討してはどうか。
出典:神奈川県森林組合連合会/クラウド活用で業務負担を軽減、「くみき」導入で見えた業務効率化の可能性
https://kumiki.com/usecase/kenmoriren/
測量した資源量と伐採・集材の実績を比べる
柴田産業では、原木の生産状況を把握・共有し、伐採・集材の生産性と管理効率を高めるため、住友林業、岩手大学と2022~2024年度に実証事業を行った。伐採・造材機が記録する本数、材積、位置を管理システムに取り込み、集材車の運転者と共有。施業前のドローンレーザ測量に基づく計画材積と、生産・搬出した材積も比較した。林野庁の公表事例では、集材を効率化し、作業途中の進捗確認や計画の見直しが容易になったとされ、同社は2025年度以降も活用を続けている。
アトツギ経営者の方も、伐採前の見込みと現場の生産量を同じ単位で比べ、作業の途中で進み具合を確かめて計画を見直す運用を考えてはいかがだろうか。
出典:株式会社柴田産業/ 「新しい林業」の経営モデル実証事業の取組成果~ CTL 作業システムを支える「素材生産管理システム」の構築~
https://www.rinya.maff.go.jp/j/kikaku/hakusyo/r7hakusyo_h/all/chap2_1_4.html
まとめ
3つの事例から見えてくるのは、案件、測量、施業という各段階で、次の仕事の判断に使える情報を残すことの大切さだ。案件の条件、山の状態、作業の実績をたどれるようにすることは、事務所と現場、前任者と次の担当者の間で、一連の仕事を引き継ぐ土台になる。
AIで林業の仕事を変えたいアトツギ経営者の方は、最近の案件を一つ選び、依頼内容から測量結果、施業の進捗まで説明できるかを確かめてはいかがだろうか。引継ぎの際に不足する情報を一つ挙げ、案件・測量・実績のどの段階で残せば次の判断に使えるか、現場と一緒に見直すことを提案したい。


