FAXの繰り返し転記、電話や略称で届く注文の照会、紙の受注票の共有・保管。公開事例では、こうした受注業務の課題が確認できた。本稿では、AI・デジタル活用で受注の仕事がどう変わるのかを伝えるため、AI- OCRを活用する新珠ゴールデンエッグをはじめ、大和物産、荒井商会のデジタル化事例を紹介する。

FAXを残しながら受注後の転記を減らす

新珠ゴールデンエッグでは、FAXで受けた注文をExcelや納品書、送り状、出荷指示へ何度も転記していた。取引先がデジタル機器に不慣れで、EC受注への一本化も難しかった。同社はAI-OCRでFAX発注書を読み取り、受注から出荷指示、書類作成までをつなぐシステムを導入した。支援機関の記事では、会社全体で1日約15時間の作業を削減したと報告されている。

アトツギ経営者が引き継ぐ取引には、長く使われてきた注文方法もある。取引先へ変更を求める前に、受け取った情報を社内で何度転記しているかを確かめ、商習慣を維持する部分と省力化する部分を切り分けてはどうだろうか。

出典:新珠ゴールデンエッグ株式会社/ AI−OCR を活用し、受注業務の省力化を実現

https://www.fisc.jp/case/2022-10/

注文内容を基幹システムへつなぐ

大和物産では、電話注文の認識違い、不鮮明なFAXや数量単位の確認、略称の商品名を営業に聞く手間が課題だった。同社はTANOMUとFAX-OCRを導入し、商品、温度帯、配送便の項目を基幹システムと対応付け、CSVで取り込む形にした。導入記事では、月約1,000件の受注のうち約700件をデジタルで処理するようになったと報告されている。

アトツギ経営者が着目したいのは、注文の受け口だけでなく、取引先の表現を社内の商品情報へ読み替える作業だ。略称や数量単位の対応を整理し、経験者にしか分からない知識を、他の担当者も扱える受注ルールとして残してはどうだろうか。

出典:大和物産株式会社/ 受発注システム TANOMU で受注の 7 割をデジタル化。 FAX-OCR と CSV 取り込みで、朝の入力業務が減りました。

https://www.infomart.co.jp/case/0251.html

紙の受注票と案件情報を一緒に確認する

荒井商会では、複数の社員が同じ紙の受注票に追記し、過去案件の照会に備えた保管が棚を圧迫していた。在宅時に票を共有しにくいことも課題だった。同社は受注票をExcel化し、完了票をeValueの文書管理へ保存してSMILEの案件情報と結び付けた。導入記事では、紙の保管負担が軽減し、受注から売上までの情報を一体で確認できるようになったと紹介されている。

アトツギ経営者が取引の経緯を把握するには、売上の数字だけでなく、受注時に何が依頼され、どう処理したかもたどりたい。受注票と案件情報を結び付ける方法を参考に、紙を電子化するだけでなく、引継ぎや過去案件の照会に必要な記録を一緒に残す設計を検討してはどうだろうか。

出典:株式会社荒井商会/柔軟な帳票作成と電子保管で業務を改善

https://www.otsuka-shokai.co.jp/products/case/arai-shokai-dx.html

まとめ

3社に共通するのは、注文の入り口をすべて変えるのではなく、受け取った情報が次の工程で使えるようにしたことだ。FAXを読み取る、注文の表現を商品情報へ対応付ける、受注票を案件と結び付ける。それぞれの方法は違っても、担当者が転記や読み替えでつないでいた仕事を、共有できる仕組みへ移している。

アトツギ経営者の方は、まず一つの注文が出荷に至るまでを追い、同じ情報の入力回数、経験者に聞く内容、履歴を探す場所を確かめてはいかがだろうか。負担が集中する接点を選べば、取引先との関係を保ちながら、どこへAI・デジタル活用を取り入れるかを具体的に判断しやすい。

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